秋の代表的な花、コスモスはその魅力から「秋桜」とも称されています。
近年の品種改良により、夏にも花を咲かせる種類が登場し、人々の関心を引いています。
特に、ひまわりと一緒に咲くコスモスの風景は、多くの人々に愛されています。
ここでは、コスモスをより美しく豊かに咲かせる栽培のポイントと、花の数を増やす摘芯の技術について紹介します。
コスモスの基礎知識
キク科に属する一年草であるコスモスは、「Cosmos bipinnatus」という英名がつけられています。
自然界では最大で3メートルまで大きくなることもありますが、園芸品種では一般的に40センチから1.5メートルの高さになります。
この植物の葉は細かく分かれ、羽のような形状をしています。
花の大きさは品種によって異なり、大輪のものは10センチ程度になります。
最近では八重咲きや半八重咲きの新品種も人気を博しています。
花色のバリエーションも豊富で、赤、ピンク、白、紫、オレンジと多彩です。
さらに、珍しいチョコレート色のコスモスも注目を集めています。
コスモスの栽培のコツ
コスモスを栽培する方法は、苗を利用するか種から栽培するかの2つがあります。
どちらの方法でも、苗が大きくなったら植え替えることが大切です。
コスモスは根が直根性で少なめなので、地植えが適しています。
頻繁な植え替えは根を傷める原因になり得るため、植え替えは慎重に行う必要があります。
地植えが適している一方で、鉢植えやプランターで栽培する場合は、草丈の管理方法に注意しましょう。
コスモスの育て方
苗からコスモスを育てる方法
春の終わりから初夏にかけて、園芸店やホームセンターではコスモスの苗が売られています。
コスモスは根が少なく、根が深く伸びる性質を持っているため、根詰まりしやすいことがあります。
購入した苗は、なるべく早く庭に植えるか、広めの鉢に移植するのが適しています。
多くの植物とは異なり、コスモスはポットの土をほぐさずにそのまま植えると、根を傷めずに済みます。
土の選び方と準備
コスモスはさまざまな土壌で栽培することができますが、根が深く伸びやすいため、植える前に土をよく耕しておくことが重要です。
以前他の植物が植えられていたり、栄養が不足している土の場合は、苦土石灰を混ぜて改良しましょう。
また、排水性が悪い土壌では、川砂を加えると良いでしょう。
コスモスと肥料
コスモスは肥料をあまり必要としません。
自然に大きくなる強さがあるため、栄養分の少ない土壌でも問題なく大きくすることができます。
肥料を過多に使うと、草丈が異常に伸びたり、根を傷める可能性があります。
植え付けの際は、適量の緩効性肥料や堆肥を混ぜるだけで十分です。
追肥は必要ありません。
種から育てるタイミング
コスモスは種からも育てやすく、4月から9月にかけての長い期間で種まきが可能です。
ただし、品種によって最適な時期は異なります。
【早咲き品種】
7月に花を咲かせる早咲き品種の場合、開花予定の3ヶ月前に種をまくと良いでしょう。
【夏咲き品種】
7月から8月に開花させたいなら、種まきの適期は3月から5月下旬です。日が長い6月を過ぎ、日照時間が短くなる7月から8月に開花します。
【秋咲き品種】
通常の秋咲きコスモスは、6月から7月に種をまきます。夏咲きの品種と同様、日照時間の変化に応じて、10月以降に開花する傾向があります。
コスモスの種まき、水やり、摘芯の方法
コスモスの種蒔き手順
まず、適切なサイズのポットや鉢に土を入れます。
次に、コスモスの種をポットに3~4粒ずつ点播するか、均一に散布します。
種が風で飛ばされないように、軽く土で覆います。
コスモスの種は発芽しやすいため、直接庭にも蒔くことができます。
苗が大きくなるにつれて、弱いものを間引きながら美しい花壇を作っていきます。
他の植物の影響を受ける場合は、最初はポットで栽培して葉が6~8枚になったら植え替えます。
水やりのポイント
地植えのコスモスは、日当たりが良く、風通しのいい場所を選べば、特別な水やりは必要ありません。
ただし、長期間にわたる猛暑や乾燥が続く場合は、朝夕にたっぷりと水を与えます。
鉢植えの場合は、土の表面が完全に乾いたら水やりをし、鉢底から水が流れ出るまでしっかりと水を与えます。
草丈の調整と花の増やし方
コスモスは短日性植物で、日照時間が長いと草丈が伸びやすく、花が咲きにくくなります。
大きな草丈のコスモスを栽培したい場合は、早めに植えて十分な日光を浴びさせることが有効です。
小さく仕立てたい場合は、葉が6枚ほどになったら摘芯を行います。
摘芯は植物を横に広げ、茎や蕾を増やすための方法です。
摘芯の実施方法
茎の先端にある芽を、手で摘み取るかハサミで切ります。
茎が特に伸びすぎている場合は、一節分くらい切り取っても問題ありません。
ただし、生長期や日照時間の変化に注意し、摘芯を過度に行わないようにします。
夏咲き品種は7月以降、秋咲き品種は9月以降の摘芯は避けるのが最適です。
コスモスが咲かない理由と長く楽しむポイント
コスモスは栽培しやすい花ですが、時には花が咲かないことがあります。
ここでは、そのような場合の主な原因と解決策をお伝えします。
花が咲かない原因とその対策
夜間の明るさ
コスモスは夜の暗さが大きくなるのに欠かせません。
玄関灯や街灯の下では、コスモスが必要とする日照サイクルが妨げられ、花が咲きにくくなります。
可能であれば、夜間は暗い場所に移動させるか、段ボールやすだれで覆うなどして、夜間の環境を暗くする工夫をしましょう。
花の処理
咲き終わった花をそのままにしておくと、種を形成するためのエネルギーが消費され、新しい花ができるのが遅そくなることがあります。
花が終わった後は、定期的に摘み取って、植物にエネルギーを集中させましょう。
コスモスを楽しむコツ
コスモスは6月から10月にかけて、美しい花を次々に咲かせる魅力ある植物です。
手間をかけすぎず、自然な姿を楽しむことが肝心です。
摘芯や枯れた花の処理以外は、基本的には手を加える必要はありません。
自然の姿のコスモスの美しさを、風に揺れる様子とともに今年は楽しんでみませんか。